広島高等裁判所岡山支部 昭和29年(う)91号 判決
被告人は下山敏雄を殺害しようと決意し本件短刀を以て同人に斬付けたが所期の目的を遂げず殺人未遂罪を犯したものであることは原審の認定するところである。然らば右短刀の不法所持は殺人未遂の手段たる行為であるから索連犯として処断すべきであるからというに、刑法第五四条第一項後段の索連犯が成立するには、ある犯罪と他の犯罪との間に通常手段又は結果の関係があることが必要であつて、被告人が偶々ある犯罪の手段として行つたというだけでは足りないのである。而して刀剣類の不法所持と殺人未遂との間にはその罪質上通常手段結果の関係にあるとはいえない。それ故たとえ被告人が下山敏雄を殺害する手段として短刀を所持していたとしても、それだけで右両罪(短刀の不法所持と殺人未遂)を索連犯とみることはできない。されば右両者を各独立した犯罪と認め併合罪として処断した原判決は正当であつて擬律錯誤の違法なく、論旨は理由がない。